こんにちはくまさんです。今回は米中ハイテク戦争が米国株に与える影響について考えたいと思います。
米中対立が益々深まる中、現在世界がどのように動いているのかを考えてみました。
この記事を見ると具体的にどの銘柄が米中ハイテク戦争によって影響を受けているかがわかります。
米中対立の主戦場は関税からハイテク戦争へ
米中対立はハイテクの覇権戦争へ
米中対立の構図は2016年から始まる米国と中国の貿易赤字に対する米国側の不満から始まりましたが、これは膨張する中国経済を抑え込まないと世界の潮流が変わってしまうという米国の危機意識から来ています。
この構図を理解することは現在のアメリカの株式市場の流れを理解するのに非常に役に立ちます。
なぜなら米国の主要なIT産業や半導体産業はこの影響を大きく受けていてこの構図の中で株価が大きく上下に変動するからです。
実際にトランプ政権がどの分野に対して締め付けを強めているのかは今後の株価を考えるに当たり重要だと思います。
GAFAの中国版BATH
米中対立を語る上で基礎知識としてとBATHについて理解する必要があります。GAFAについては皆さんご存知かと思いますが
「グーグル」「アップル」「フェイスブック」「アマゾン」の頭文字をとった造語で米国の巨大テック企業の代表格です。
これに対してBATHは中国の「バイドゥ」「アリババ」「テンセント」「ファーウェイ」の4つの企業の頭文字でそれぞれ
「バイドゥ」は検索サービス、「アリババ」はEC最大手、「テンセント」はSNSなどのコミュニケーションサービス「ファーウェイ」は通信機器製造大手とそれぞれがGAFAと同じようなサービスを提供しています。
これは中国が米国企業を締め出し同様のサービスを模倣、コピーし自国で発展させるという戦略を展開していたからであり、米国がこの技術流出に反発するのは自然な流れだと考えます。
米国の先端技術の流出に危機感
米国が危機感を抱いたのはファーウェイからはじまる通信技術の覇権争いです。5Gと呼ばれる通信規格の普及によりモバイル通信は激的に高速化し、通信設備などのインフラをおさえられてしまうと先端技術や安全保障上の重要情報などの流出リスクが出てきました。
米国はこれ以上の技術の窃盗に危機感を抱いて世界的に同盟国を巻き込んで自由主義経済からの締め出しに奔走しています。
同盟国の通信機器の禁止とソフトウェアの供給停止
米国がファーウェイに対しての規制に動いたのは2018年がはじめです。
安全保障の観点から政府調達にファーウェイに機器を除外する方針を示しました。これに追随するように同盟国にもクリーンネットワークの名目で5Gの通信設備の導入の制限に動きました。最初からデカップリング(切り離し)に大きく賛同する国は一部でしたが2020年の香港人権法案の可決により旗色が変わってきます。
徐々に欧州やインドなどを巻き込んで米国に同調する国が増えてきています。またGoogleのスマートフォン向けのOS(オペレーティングシステム)の更新停止もファーウェイ製のスマートフォン端末の普及に水を差す事態になりました。
ここまでで株価に与える影響は2018年の12月にはこの米中のデカップリングを要因の一つに大きく株価を下げました。
半導体の輸出規制で一段と進んだファーウェイ潰し
この流れの中で米国は米国先端技術を搭載する半導体のファーウェイへの提供を禁止する措置を発動させます。これは半導体セクターに大きな影響を与えました。米国の半導体企業は台湾のTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング※半導体受注大手)に製造を委託しています。米国はこのTSMCに圧力をかけファーウェイへの提供を禁止しました。ちなみにTSMCの顧客にはApple、NVIDIA、Qualcomm、AMD、HiSiliconなどの名だたる半導体メーカーが名を連ねています。
中国は事前にこの動きに合わせて自国に中芯国際集成電路製造(SMIC)と呼ばれる半導体製造企業を立ち上げていますがこの会社の技術はTSMCに比べて数年遅れるほどの技術差があります。
このことから米国は台湾の半導体技術の中国からの切り離しに成功しました。しかし技術流出の懸念はまだ残ります。
次の標的はSNSやアプリケーション
そしてこの締め出しの動きはSNSやアプリケーションにも飛び火します。中国ハイテク企業バイトダンスが運営する短時間の動画コンテンツ配信サイト「TikTok」の利用禁止及び米国企業への売却契約の締結へ圧力を強めています。
これにより売却先企業であるOracleや候補企業であったMicrosoftとWalmartの株価に影響を与えています。
ではかんたんに要点をまとめます。
- 米中貿易摩擦はハイテク戦争へ発展
- GAFAをコピーしたBATHに対しての危機感
- ファーウェイを発端にした通信機器の排除
- TSMCの中国からの切り離し
- TikTokとOracleの提携
これらはすべて関連していますし米国は一貫した戦略のもとこれを実行していると考えられます。株価への影響としてはGAFAMやNVIDIA、Teslaなどの大型株から小型株まで中国のサービスに関わる企業全般です。
まとめ
- 米中貿易摩擦は米中ハイテク戦争に→米国株全般に影響
- BATHへの締め付けは強くなっている→百度・アリババ・テンセントの株価に影響
- ファーウェイはソフトウェアもハードウェアも調達できない。→AppleやTSMC・NVIDIA等に影響
- TikTokとOracleの提携発表→Oracleに好材料・MicrosoftやWalmart、FastlyやZOOMなどの株価に影響
上記が今までの流れです。今後も株価に与える影響は高いため定期的に確認することをおすすめします。
Happy investment!