投資コラム

AMD vs intel 仁義なきプロセッサ戦争

こんにちはくまさんです。今回は米国有数の半導体企業のAMDについてお伝えします。

米国では今半導体の製造で中国や台湾、韓国などを巻き込んで熾烈な技術競争をしています。

半導体はこれからの情報技術製品の開発で無くてはならない技術で多くのデバイスに搭載されますので知っておくと世界の情勢がわかると思います。

少しわかりにくい用語や説明がありますがわからない場合はかんたんに要約した後半の説明を読んでください。




AMDってどんな会社なの?なにが強みなの?

AMDのかんたんな歴史

AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)はアメリカカリフォルニア州の会社でCPUとGPUの製造を行っている半導体企業です。

もともとはIntelのチップと同様の仕様の商品やグレードの少し落ちる廉価版のCPUなどのチップを製造していた会社で、IntelのPentiumというシリーズに対抗したAthlonなどが有名です。その後64ビットアーキテクチャのAthlon64シリーズなどを展開しシェアを伸ばしていきました。

ただそれまではAMDのCPUといえばIntelの廉価版という扱いで価格を下げるための商品という扱いでしたのでIntelの牙城を崩す存在とまでは捉えられてませんでした。

しかしAMDが2017年代になって製造を始めたRyzenと呼ばれるシリーズを販売し始めたことにより変わっていきます。
Ryzenシリーズはzenアーキテクチャと呼ばれる設計に基づいて製造されIntelのCore iシリーズなどとの競合製品で、コストパフォーマンスや消費電力が優れているのが特徴です。
このRyzenが発売されたことによりIntelと対等な競争ができるようになりAMDのシェアはIntelを凌駕するほどに向上します。

またAMDは2006年代にカナダのグラフィックスチップ製造会社ののATIテクノロジーズを買収しGPUの技術を取得することにも成功しています。
これによりGPUをCPUを統合させたAPUなどを展開したりGPUとしての製品ラインであるAMD Radeonの製造などGPUの技術をいかした戦略を展開しています。

要点整理

AMDはもともとIntelの二次製品や廉価版を製造していた。
Ryzenシリーズの製造によりIntelを凌駕するくらいシェアをもつ
ATIテクノロジーズを買収したことによりGPUの技術ももっている。

AMDの強み

AMDの強みはなんといってもコストパフォーマンスが良い点があげられます。

その秘密は自社で工場を持たず製造を委託する仕組みにあり(ファブレス企業)、台湾のICチップ製造大手TSMC(台湾セミコンダクターマニュファクチュアリング)に製造を委託していることにあります。TSMCは世界でも最高峰のICチップの製造技術を持っており、自社製造のIntelとは開発コストの面で差をつけることに成功しています。

世界の潮流として設計をアメリカなどのハイテク企業がおこない、製造をアジアのファウンドリと呼ばれる企業に委託する流れが続いています。

要点整理

AMDは工場を持たないファブレス企業
台湾のICチップ製造大手TSMCへ製造委託によりコスト効率を工場
これにより最先端の技術も委託により実現

決算結果

今回は米国株決算マンさんのツイートより引用させてもらいます。

サーバー用の市場で売上良好

AMDは収益性の高いサーバー用チップ市場でIntelからシェアを奪いつつあります。このことからPC向けだけではなくデータセンター向けなどの売上が良好であることが伺えます。今後もIntelの競合相手として製造競争の展開に注目が必要です。

コロナショックによりCPUの需要が増加

昨今のコロナショックによりゲームやリモートワーク向けのPC需要が大幅に増加し通期の見通しを上方修正しています。約32%程度増加する見通しを示し市場の予想を上回ったことから株価は上昇しました。

株価チャート

直近の株価チャートは以下を御覧ください。

AMDの今後

今後はIntelの巻き返しに注目。

Intelは現在7nmという単位のCPUの開発に注力していますが、TSMCに遅れを取っているのが現状です。いずれは開発に成功し自社開発の強みが生きてくる展開があるかもしれないですが、半導体技術の世界は日進月歩でその遅れが命取りになる恐れもあります。現在シェア争いは拮抗しており今後この差が開いていく展開があれば大きく遅れを取る可能性もあります。

いずれにせよCPUの需要は情報社会に無くてはならないもので少エネルギーで高コストパフォーマンスの製品は今後も伸びていく可能性が高いです。




米中技術戦争のなかでの半導体の存在感

AMDはCPUではIntelとGPUではNVIDIAと熾烈な競争を繰り広げています。どちらの分野も今後需要は確実に増える可能性が高く、米中技術戦争により技術輸出の規制がかかる中で逆行を跳ね返し存在感を示せるかに今後がかかっています。

同社の成長は半導体の技術の仁義なき戦いの先にあると言えます。

まとめ

AMDはIntelと争えるまでに成長した半導体メーカー
製造をTSMCへ委託することによりコストパフォーマンスの向上。
最先端の製造技術により設計に注力
今後はIntelや他企業の巻き返しに注目。
半導体の需要は今後も伸びる可能性大